一次関数

一次関数

α,β∈C\alpha, \beta\in\Cに対し、f(z)=αz+βf(z)=\alpha z+\betaを複素数の一次関数という。 以下では特に断らない限りα≠0\alpha\neq0とする。 α=0\alpha=0のときは定数関数であり、次に述べる幾何的な意味は持たない。

ffはC\C全体で定義された関数f:C→Cf:\C\to\Cである。

一次関数の幾何的意味

一次関数f(z)=αz+βf(z)=\alpha z+\betaは、α\alpha倍(回転拡大)と+β+\beta(平行移動)の合成である。

α\alphaの極形式をα=r(cos⁡θ+isin⁡θ)\alpha=r(\cos\theta+i\sin\theta)とすると、α\alpha倍は原点を中心としたθ\thetaの回転とrr倍の拡大を同時に行う変換である。 これに平行移動+β+\betaを合わせたものが一次関数f(z)=αz+βf(z)=\alpha z+\betaの幾何的意味である。

例えば、f(z)=izf(z)=izはπ/2\pi/2の回転、f(z)=2zf(z)=2zは22倍の拡大、f(z)=z+1f(z)=z+1は実軸方向の平行移動を表す。

一次関数の重要性

実関数の微積分において、点aaでの微分可能性とは、aaの近くで関数が一次関数(接線)で近似できることを意味する。 すなわち、f(x)≈f(a)+f′(a)(x−a)f(x)\approx f(a)+f'(a)(x-a)である。

これと同様に、複素解析における正則関数も、各点の近くで複素数の一次関数により近似できる関数として理解される。

f(z)≈f(a)+f′(a)(z−a)f(z)\approx f(a)+f'(a)(z-a)

実関数の場合、f′(a)f'(a)は接線の傾きであるが、複素関数の場合、f′(a)f'(a)は複素数であり、f′(a)≠0f'(a)\neq0なら回転拡大を表す。 正則関数がf′(a)≠0f'(a)\neq0なる点の近くで等角写像(角度を保つ写像)となるのはこのためである。

f′(a)=0f'(a)=0のときは一次の項が消えるのでこの説明は使えず、実際に角は保たれない。 例えばf(z)=z2f(z)=z^2はf′(0)=0f'(0)=0であり、原点で交わる二直線の像のなす角は22倍になる。

このように、一次関数は正則関数の局所的な振る舞いを記述する最も基本的な関数である。