複素関数の図示・連続性

複素関数の図示

実関数y=f(x)y=f(x)はグラフで図示できた。 定義域と値域がどちらも11次元なので、平面上に(x,y)(x,y)を取れば関数全体が見渡せる。

複素関数はそうはいかない。 定義域も値域も22次元なので、グラフを描くには44次元が要る。

そこで、22つの複素平面を並べて、点や曲線や領域がどこにうつるかを見るという方法をとる。 zz平面の図形がw=f(z)w=f(z)平面のどんな図形にうつるかを追いかけるわけである。

w = z² z 平面 w 平面 π/4 π/2
複素関数の図示。zz平面の点・曲線・領域がww平面のどこにうつるかを見る。ここではw=z2w=z^2によって、原点から出る偏角00とπ4\dfrac{\pi}{4}の半直線が偏角00とπ2\dfrac{\pi}{2}の半直線に(偏角が22倍に)、単位円周が単位円周にうつる様子を描いている。

点がどこにうつるかだけでなく、曲線や領域の形がどう変わるかを見るのが要点である。

z=teiαz=te^{i\alpha}(t≥0t\geq0)とおくとz2=t2e2iαz^2=t^2e^{2i\alpha}だから、原点から出る偏角α\alphaの半直線は偏角2α2\alphaの半直線にうつる。 直線ではなく半直線になることに注意しよう。 例えば実軸全体の像は非負実軸であり、負の実数は像に現れない。

上の例では原点でπ4\dfrac{\pi}{4}の角をなす22本の半直線が、うつった先ではπ2\dfrac{\pi}{2}の角をなしている。 角が保たれていないが、これはz2z^2の導関数が原点で00になるためで、第3章の等角性で改めて扱う。

ベクトル値実関数との対比

複素数全体の集合C\Cは、集合としてR2\R^2と同一視できる。

一次関数f(z)=αz+βf(z)=\alpha z+\betaをR2\R^2のベクトル値関数として表してみよう。 α=a+bi,β=c+di,z=x+yi\alpha=a+bi, \beta=c+di, z=x+yiとおくと、

αz+β=(a+bi)(x+yi)+(c+di)=(ax−by+c)+(ay+bx+d)i\alpha z+\beta=(a+bi)(x+yi)+(c+di)=(ax-by+c)+(ay+bx+d)i

である。対応するベクトル値関数は

(xy)↦(ax−by+cay+bx+d)\begin{pmatrix} x\\ y \end{pmatrix} \mapsto \begin{pmatrix} ax-by+c\\ ay+bx+d \end{pmatrix}

となる。これは行列を用いると

(a−bba)(xy)+(cd)\begin{pmatrix} a&-b\\ b&a \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x\\ y \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} c\\ d \end{pmatrix}

と表せる。 第1章では同じ行列を積の表示として得たが、ここでは平面から平面への写像を表す行列として見ている。

さらにα≠0\alpha\neq0すなわちa2+b2≠0a^2+b^2\neq0のとき、

(a−bba)=a2+b2(a/a2+b2−b/a2+b2b/a2+b2a/a2+b2)\begin{pmatrix} a&-b\\ b&a \end{pmatrix} =\sqrt{a^2+b^2} \begin{pmatrix} a/\sqrt{a^2+b^2}&-b/\sqrt{a^2+b^2}\\ b/\sqrt{a^2+b^2}&a/\sqrt{a^2+b^2} \end{pmatrix}

と分解でき、右側の行列は行列式が11の直交行列である。 すなわち、α\alpha倍は回転と拡大の合成であることが行列の言葉でも確認できる。

複素関数の連続性

C\Cの位相はR2\R^2の位相と一致し、距離を絶対値で測る。 したがって、複素関数の連続性は二変数関数の連続性と同じである。 z=x+iy,w=u+viz=x+iy, w=u+viとしたとき、∣z−w∣\lvert z-w\rvertと(x,y),(u,v)(x,y), (u,v)のユークリッド距離は等しい。

連続性

ffが点aaで連続であるとは、

lim⁡z→af(z)=f(a)\lim_{z\to a}f(z)=f(a)

が成り立つことをいう。 すなわち、任意のϵ>0\epsilon>0に対し、あるδ>0\delta>0が存在して、∣z−a∣<δ\lvert z-a\rvert<\deltaならば∣f(z)−f(a)∣<ϵ\lvert f(z)-f(a)\rvert<\epsilonとなることである。