複素関数の図示・連続性
複素関数の図示
実関数y=f(x)はグラフで図示できた。
定義域と値域がどちらも1次元なので、平面上に(x,y)を取れば関数全体が見渡せる。
複素関数はそうはいかない。
定義域も値域も2次元なので、グラフを描くには4次元が要る。
そこで、2つの複素平面を並べて、点や曲線や領域がどこにうつるかを見るという方法をとる。
z平面の図形がw=f(z)平面のどんな図形にうつるかを追いかけるわけである。
複素関数の図示。z平面の点・曲線・領域がw平面のどこにうつるかを見る。ここではw=z2によって、原点から出る偏角0と4πの半直線が偏角0と2πの半直線に(偏角が2倍に)、単位円周が単位円周にうつる様子を描いている。
点がどこにうつるかだけでなく、曲線や領域の形がどう変わるかを見るのが要点である。
z=teiα(t≥0)とおくとz2=t2e2iαだから、原点から出る偏角αの半直線は偏角2αの半直線にうつる。
直線ではなく半直線になることに注意しよう。
例えば実軸全体の像は非負実軸であり、負の実数は像に現れない。
上の例では原点で4πの角をなす2本の半直線が、うつった先では2πの角をなしている。
角が保たれていないが、これはz2の導関数が原点で0になるためで、第3章の等角性で改めて扱う。
ベクトル値実関数との対比
複素数全体の集合Cは、集合としてR2と同一視できる。
一次関数f(z)=αz+βをR2のベクトル値関数として表してみよう。
α=a+bi,β=c+di,z=x+yiとおくと、
αz+β=(a+bi)(x+yi)+(c+di)=(ax−by+c)+(ay+bx+d)i
である。対応するベクトル値関数は
(xy)↦(ax−by+cay+bx+d)
となる。これは行列を用いると
(ab−ba)(xy)+(cd)
と表せる。
第1章では同じ行列を積の表示として得たが、ここでは平面から平面への写像を表す行列として見ている。
さらにα=0すなわちa2+b2=0のとき、
(ab−ba)=a2+b2(a/a2+b2b/a2+b2−b/a2+b2a/a2+b2)
と分解でき、右側の行列は行列式が1の直交行列である。
すなわち、α倍は回転と拡大の合成であることが行列の言葉でも確認できる。
複素関数の連続性
Cの位相はR2の位相と一致し、距離を絶対値で測る。
したがって、複素関数の連続性は二変数関数の連続性と同じである。
z=x+iy,w=u+viとしたとき、∣z−w∣と(x,y),(u,v)のユークリッド距離は等しい。
連続性
fが点aで連続であるとは、
z→alimf(z)=f(a)が成り立つことをいう。
すなわち、任意のϵ>0に対し、あるδ>0が存在して、∣z−a∣<δならば∣f(z)−f(a)∣<ϵとなることである。