半円周の積分
半円周上の極限と半分の留数
gが正則であるとき、Hrを原点中心半径rの上半円に反時計回りに向きをつけたものとすると、
r→+0lim∫Hrzg(z)dz=πig(0)=πiResz=0zg(z)となる。
証明
コーシーの積分公式と同様に証明できる。
∫Hrzg(z)dz=∫Hrzg(0)dz+∫Hrzg(z)−g(0)dz=g(0)∫Hrz1dz+∫Hrzg(z)−g(0)dz=πig(0)+∫Hrzg(z)−g(0)dzであり、
∣∫Hrzg(z)−g(0)dz∣≤(∣g′(0)∣+ϵ)πrで、r→0で0に収束する。
これを利用して、以下の積分を計算しよう。
この値は第6章の積分計算への応用で長方形の積分路を使って既に求めている。
ここでは半円の積分路で同じ値を導き、遠方の評価と原点の避け方がどう変わるかを見る。
半分の留数を用いた
xsinx の計算
I=∫0∞xsinxdx=2πを示す。
積分経路C=H1+H2+J1+J2を以下のように定める。
H1は原点中心半径Rの上半円で反時計回りに向きをつけたもの、H2は原点中心半径rの上半円で時計回りに向きをつけたもの。
J1は実軸の−Rから−rでJ2は実軸のrからRの区間。
f(z)=zeizとおくと、これはz=0のみで1位の極を持つ。
よって、
∫Cf(z)dz=0である。
∫J1zeizdz+∫J2zeizdz=∫−R−rteitdt+∫rRteitdt=2i∫rRtsintdtである。
H1をz=Reiθとパラメータつけて積分を評価する。
∣∫H1zeizdz∣≤∫H1∣zeiz∣∣dz∣=∫0πR1∣eiReiθ∣∣Rieiθ∣dθ=∫0πe−Rsinθdθ=2∫π/2e−Rsinθdθ≤2∫π/2e−2Rθ/πdθ=Rπ(1−e−R)→0(R→∞)となる。
次にr→+0で
∫H2→−πiとなることを示す。
これは冒頭で述べた半周の留数を、g(z)=eizとして向きに注意して用いればよい。
H2は時計回りなので符号が逆になり、−πig(0)=−πiとなる。
広義積分∫0∞xsinxdxが収束することも確かめておく。
xsinxはx→+0で1に近づくので0の近くでは問題ない。
無限遠側は絶対可積分でないので、部分積分を用いる。
1≤A<Bに対し
∫ABxsinxdx=[x−cosx]AB−∫ABx2cosxdxであり、右辺第一項はA,B→∞で0に、第二項はx21が可積分なので収束する。
したがってコーシーの判定条件から広義積分は収束する。
以上をまとめると、R→∞,r→+0の極限を取ることで、
0=2i∫0∞xsinxdx−πiとなり、
∫0∞xsinxdx=2πとなる。