正則関数

このセクションでは複素解析の主役である正則関数を定義し、その基本的な性質を調べる。

C\CをR2\R^2と同一視すれば、複素関数f:C→Cf:\C\to\Cは実二変数のベクトル値関数f:R2→R2f:\R^2\to\R^2とみなすことができる。 距離も対応するので、連続性はどちらの見方をしても同値である。 大きく違うのは微分であり、複素関数の微分可能性は「複素係数の一次式で近似できること」を要求する。 これは実二変数関数として全微分可能であることよりも真に強い条件で、この差が複素解析の豊かな理論を生み出す。

まず実関数の微分係数を一次近似の観点から捉え直し、それを複素関数に移して正則性を定義する。 次に多項式や有理式が正則であること、逆にzˉ\bar{z}が正則でないことを確かめ、指数関数・三角関数・対数関数の正則性を調べる。

続いて、正則性を実部と虚部の偏導関数についての条件として書き直したコーシーリーマンの方程式を導く。 最後に、正則関数がその帰結として持つ二つの性質を見る。 導関数が00でない点で曲線の交角を保つという等角性と、実部・虚部がラプラス方程式を満たすという調和性である。

目次

  1. 微分係数と一次近似
  2. 正則関数の定義
  3. 正則関数の例と初等関数の正則性
  4. コーシーリーマンの方程式
  5. 等角性
  6. 調和関数